センパイの嘘つき
放課後、目の前には例の泣いていた先輩と、知らない先輩達が数人。
私の隣には、冷たい表情の柳先輩。
「…今まで柚月に色々と酷いことをしてたのは彼女たちみたいだ」
柳先輩の声に、女の先輩はそっぽを向く。
「柚月にちゃんと謝れ」
先輩の低い声に、女の人はしぶしぶ口を開く。
「…やりすぎたわ。もう、しない」
「おい、そんな言い方…」
言い返そうとする先輩の袖を引く。
「いいです、先輩。もう、十分です」
なによりも、私のために行動してくれた先輩の気持ちが嬉しい。
だから、もういい。
「…これ以上柚月ちゃんを傷つけたら許さないから」
先輩の言葉に、胸がギュッと締め付けられる。
まただ。黒い気持ちからくる苦しさじゃない。
なんだか今、ものすごく先輩に抱きつきたい。
そんなこと、できるわけないんだけど。
女の先輩達は、悔しそうな顔をして、その場を去った。