センパイの嘘つき


「先輩、私、ずっと会いたかったんです」


話したいことが、たくさんあるの。


「俺も俺も、会いたかったよ」


先輩は、私の顔を見ないまま、保健室のベッドに腰掛ける。


「…先輩?」


次の瞬間、掴まれた手を思い切り引かれた。


予期していなかった行動に、私の体は傾く。


…気づいたら、先輩は私の手首を抑えたまま、私に馬乗りになっていた。

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