センパイの嘘つき
嘘つき
別れよう。
たったの一言が、わたしの頭を回る。
揺さぶられる。ふとした瞬間に、涙が出そうになる。
分からない。先輩が、わからない。
黒板を指差しながら何かを言う教師。
機械的に書かれたことをノートに写す生徒。
その光景が目に入っているのに、意識はどこか遠くに行っているようで。
______大切にする。
そう真剣な顔で言った先輩は、嘘だったの?
やっぱり先輩は噂通り遊び人で、わたしを助けてくれたのも、気まぐれだったのかな。