センパイの嘘つき


放課後、2年生の下駄箱の前で私は先輩を待った。


ふと、思った。


先輩は、どんな気持ちで毎朝私を待ってたのかな。


いつ出てくるかなってそわそわした?


断られるかもって怖くなった?


私、何も知らなかった。知ろうとも、してなかった。


遠くから、高い笑い声が聞こえて、私は顔を上げる。


緊張と、安堵で、胸がぐちゃぐちゃになる。


先輩は、数人の女の子に囲まれて階段を下りてきた。

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