センパイの嘘つき
「…本当は、楽しくなんかないんでしょ?これっぽっちも、満たされてなんかないんでしょ?」
先輩が、目を見開く。
もう気づいてるんでしょ?こんなことしてても、何にもならないって。
「…うるせえな」
強い力で振り払われ、私は後ろによろめく。
「ウザい。目障りだから、どっか行って」
先輩は、そのまま行ってしまった。
…どうすればいいんだろう。どうすれば、真剣に聞いてもらえる?
「…ウザい、か」
悪意をぶつけられることは、慣れてる。
でも、そっか、知らなかった。
「ふ…っ…」
好きな人から向けられるのは、こんなにも苦しいことだって。
私に泣く資格なんて、ないのに。