センパイの嘘つき


先輩は試合を終えたようで、コートの外に出ていく。


なんとなくその後も先輩を見ていたら、女の子たちが先輩の周りに集まってきた。


嬉しそうに笑う女の子たち。


今は分かる。あの先輩たちの気持ちが。


そのとき、試合をしていた人たちのボールが、謝って勢いよくコートを飛び出し、先輩と話す女の子たちの元に。


あ、ぶつかる!


思わず立ち上がりそうになったけれど、ボールは先輩の手によって無事に止められた。


ホッとして、でもすぐに気づく。


先輩の笑顔が不自然だ。


保健室にいくかと思いきや、先輩は笑って周りの人に大丈夫、と言っている。


…大丈夫じゃないくせに。

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