センパイの嘘つき
先輩の家に行くので、届けるものありますか。
そう聞いた私に、担任は申し訳なさそうに言った。
教室の机の中にプリントがあるから。
席は、窓側の一番後ろだから。
私は言われた通りに、先輩の教室まで行った。
放課後だけど、人は誰もいなくて。
私は安心して中に入る。
夕陽が先輩の席を照らす。
グラウンドからする野球部の声を聞きながら、私は机の中を覗く。
雑に入れられたプリントやノートを丁寧に出していく。
最後のプリントを取り終わった机の中に、何かが残った。
それは、白い封筒。
なんとなく手にとって、私は目を見開く。