センパイの嘘つき


私は、走り出す。


脇目も振らず、ただひたすら。


足がもつれて、転びそうになって、息が上がって、喉の奥が乾いて、むせて。


でも、絶対に止まらない。


バカ、バカだよ。先輩は、バカだ。


私の気持ちも知らないで、勝手に自分だけ暴露していなくなろうとするなんて。


そんなの、卑怯だよ。

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