センパイの嘘つき


何回も、何回も、何回も押す。


人の気配がして、ドアが開いた。


「…誰かしら?」


出たのは、知らない、綺麗な女の人。


真っ白な肌、目が、先輩にそっくり。


私の膝は馬鹿みたいに震えている。


「…先輩に、会いに来ました」


「悠人の後輩さん?来てくれて申し訳ないけど、悠人は今いないの」


ごめんね。


そう言う声は、怖いほど優しい。

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