センパイの嘘つき
私は全身の体重をかけてその女の人に突進した。
ぶつかる瞬間に見えた、見開かれた彼女の大きな瞳。
私は手で彼女を床に押し付けながら家の中に向かって走り出す。
「先輩!!!」
どこ?どこにいるの?
真っ暗なリビングに、人の気配はしない。
私は階段を勢いよく駆け上がる。
心臓が、早鐘のように鳴る。
先輩、先輩、先輩。
私は半開きになった一室のドアを開ける。
殺風景な、真っ暗な部屋。
鼻をつく、鉄の匂い。
そこに、先輩はいた。