センパイの嘘つき
「負傷者2名、重傷です!」
「急げ!タンカーもってこい!」
朦朧とする意識の中、ふわふわの金髪が、目に飛び込んできた。
「せ、んぱい…」
手に、そっと、触れる。
本当に微かな、でも確かな力が返ってきた。
頬を一筋、涙が流れる。それがとてつもなく熱くて、驚く。
なぜか脳裏に、サッカーをする先輩を応援する女の子たちの姿が浮かび上がってきた。
頬を染め、黄色い声をあげ、全身で「好き」を表現する彼女たち。
…そっか、私も。私も、なりたかった。