センパイの嘘つき
「バカ柚月!」
お見舞いに来てくれた咲の第一声は、そんな罵倒だった。
涙をボロボロ流して、私を睨みつけてくる咲を見たら、私も涙が止まらなくなって。
「なんで、なにも言ってくれなかったの!?いつも柚月はそう!私ばっかり!いつも誤魔化して、壁作って…」
「…ごめん、咲」
咲が大切で、でも距離の縮め方が分からなくて。心配かけないようにすることが、友情だって勝手に思ってた。
「不器用なんだから、下手なことしないでよ!ほんとにバカ!!」
「うん…ありがとう」
それから咲とたくさん話した。
先輩のこと、私のこと。
いっぱい泣いて、いっぱい怒られて、いっぱい笑った。
「怪我、どうなの?」
「傷が残ったり、後遺症になったりはしないって。全治2週間。それまでは、病院生活」
「よかった〜!じゃあその間のノートは任せてね」
「うん、お願い」