センパイの嘘つき


どれくらい経っただろうか。


突然ガラッと音を立てて勢いよくドアが開いた。


物語の中をさまよっていた私の意識が、現実に戻される。


顔を上げて、目に飛び込んできたのは金色の髪の毛。


蛍光灯に照らされて、目に眩しい。


私はこの金髪を知っている、と思った。


「あれ、先生は?」


にっこりときれいな顔が笑う。


「今は、いませんけど…」


いつも女の子を連れて歩いているこの人は、確か高2で、先輩だ。


この学校のほぼ全員が一度はみたことのある有名人。


整った顔に、堂々とした金髪。

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