センパイの嘘つき
「おはよう、柚月」
教室に入ると、いつも通り咲が笑顔で迎えてくれて、私は少し安心した。
大丈夫、いつも通りだ。
「おはよう」
「なんか柚月顔色悪いよ?大丈夫?」
「あー、うん、ちょっと寝れなくて」
「また勉強してたんでしょ!マジメだなあ」
咲の言葉に曖昧に笑って、席に着く。
体が重い。
学校はあまり好きじゃないけど、家に1人でいるよりはいい。
それに、休んだらお母さんが不安そうな顔をする。
もう、心配させたくない。
私はため息をつきそうになるのをこらえて、鞄の中から教科書をだした。