センパイの嘘つき
1日の授業をなんとか終え、放課後。
いつもなら保健室に行くが、今日はそんな気になれない。
「咲、今日暇?どっか行かない?」
「いいけど…珍しいね、柚月がそんなこと言うなんて」
咲は少し驚いたような顔をしてから、「保健室行かなくていいのー?」、とニヤニヤしながら言った。
「柳先輩、待ってるんじゃない?」
「…別に、あの人に会いに行ってるわけじゃないし。」
一瞬、脳裏に浮かんだ先輩の顔をすぐにかき消す。
「ふーん?まあいいや、どこ行こっかー!」
そう言って咲は嬉しそうに立ち上がった。
私もその後に続く。
昇降口まできて、靴を履き替えるために下駄箱を開けた。
そこで、私は動きを止める。
なに、これ。
「なに、どうしたの?」
咲は私の横から下駄箱を覗いた。
「…花?」