センパイの嘘つき
そこには白くて小さな花が三輪おいてあった。
雑に引き抜かれたような、長さが不揃いな花。
「間違えたのかな…?」
だれかが間違えて入れた、としか考えられない。
まあいっか、と思い私は花を手にとって靴を履き替える。
「どうするの、それ」
「しょうがないから外の花壇にでもおいとくよ」
これじゃあ植え直すこともできない。
「それより、どこいく?」
嬉しそうな咲につられて私の気分も高揚してくる。
こうやって、忘れられればいいのに。
夢のことも、あの日のことも、全部。