センパイの嘘つき
突然かけられた声に驚き、私は咄嗟に後退する。
「そんな避けなくてもいいんじゃない?」
そこには苦笑しながら柳先輩が立っていた。
「…突然声かけないでください。ていうか近づかないでください」
私はそう言って先輩を睨みつける。
「昨日は保健室来なかったね、俺待ってたんだけどなー」
「知りませんそんなの」
ふと昨日の夢が蘇り、スカートの裾を握りしめる。
「今日はくる?」
「…行く、つもりです」
「じゃあ俺も行くね」
にっこり笑う先輩に、私は呆れるしかない。
なんでここまで私にこだわるんだろう。
だがこの前ババ抜きで負けてしまったので来るなとは言えない。
「勝手にどーぞ!」
「じゃあ、放課後ね」
さわやかな笑顔でそう言い、去って行く柳先輩。
そこでようやく周りの女子の視線が集まっていることに気づき、私も急いで教室に向かった。