センパイの嘘つき


「…嫌です」


「えっ!?」


断られると思ってなかったのか、先輩は驚きとショックが混ざったような、なんともいえない顔をした。


その顔は、いつもの人気者の先輩とはあまりにも違っていて。


「ふっ…あはは!」


「え、俺の顔見て笑ったよね?今、俺の顔見て笑ったよね!?」


「だって…先輩の顔おかしいから…」


「ねえ、ひどくない?」


「あはははは!」


コロコロ変わる先輩の顔が、あまりにも面白くて。


「そんなに笑わなくても…」


「はー、ごめんなさい」


緊張していた体が、不思議といつもお通りに戻っていた。


この先輩なら、もしかしたら。


私も、昔みたいに________

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