センパイの嘘つき
「へえ、男性恐怖症なんだ」
私は十分に先輩との距離をとってから頷く。
「俺女の子に拒絶されたの初めてかも」
特段と興味もないので私は無表情を決め込む。
「でもさ、保健室には男子が来ることだってあるよね?どうしてるの?」
「…手当ては、してます。」
先輩が不思議そうな顔をしたので、私は説明を付け足した。
「保健室の先生が、叔母なんです。それで、私の苦手を克服するためにってここにいさせられて」
「あの先生か。どうりで君もかわいいわけだ」
さっきから先輩は恥ずかしいことをさらっと言ってきて、反応に困る。
「…さすが女遊び大好き人間」
「ん?なんかいった?」
私はハッとして首を横に振る。
「あ、いいこと思いついた」
唐突に、先輩は私の方に一歩近づく。
私は驚いて三歩も下がってしまう。
「なんですか…」
嫌な予感しかしない。
「君、俺の彼女になんなよ」