センパイの嘘つき
何人いたのか、あまりよく覚えていない。
でも、数人の先輩が笑いながら私を囲んでいることだけはわかった。
握られた手首が、痛い。
耳元で聞こえる息遣いが、怖くて、気持ち悪くて、吐きそうになる。
必死で彼に助けを求めた。
もがいて、押さえられた口をなんとか開いて、また押さえられて。
でも、彼は行ってしまった。
汚い笑い声が響く中、私は呆然とその背中を見ていた。
そこで、ようやく気付いた。
私は、捨てられたんだ。
大好きな彼に、売られたんだ。