センパイの嘘つき


「大丈夫ですよ」


「柚月ちゃんの大丈夫は全然信用できない!」


必死だなあ。私なんかのために、先輩は必死だ。


先輩みたいな人は初めてだから、男の人だって分かってるのに、思わず寄りかかりそうになる。


彼の優しさに寄りかかれたら、と少しだけ期待して、そんな自分に怖くなる。


また同じ過ちを繰り返すの?


私の中で、もう一人の私がそう言う。


「もう切りますよ」


「えっあっ、放課後!保健室ね!絶対だ…」


最後まで聞き終わる前に私は終了ボタンを押した。

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