センパイの嘘つき
放課後。私はいつも通り保健室に行く。
今日は慎重に、そっとドアを開けて中を覗く。
…大丈夫、今のところは誰も
「ゆーずっきちゃんっ♪」
「きゃああああああ!」
後ろから突然した声に私は思わず悲鳴をあげる。
保健室に駆け込み、奥のカーテンにくるまる。
「な…なんでいるんですか!」
「柚月ちゃんとお話ししたくて」
「しません。…ていうか、なんで名前知ってるんですか?」
私はそっとカーテンから顔を出して、思い切り柳先輩を睨みつける。
「ん?えっと…咲ちゃん?だっけ?さっき聞きに行ったら教えてくれた」
咲のバカ!!イケメンに弱いんだから…
「早く出てってください!」
「男の人、慣れるんじゃなかったの?」
さっきとは打って変わって落ち着いた先輩の声に、私は咄嗟に目を逸らしてしまう。
「…柳先輩には関係ないです」
「悠人でいいよ。ほら、早くそこからでなよ」
私の声などまるで聞こえていないかのように接してくる先輩。