センパイの嘘つき
ぽん、と先輩の手のひらが私の頭にのる。
「俺は柚月ちゃんとだったら別になんにもしてなくても嬉しいし、楽しいし、幸せなの!逆に柚月ちゃんが楽しいって思ってくれなきゃ意味ない」
私は目を見開く。
…やっぱり分からない。
どうしてこんなに優しいの?ひねくれてる私に、面倒くさい私に、どうしてここまでしてくれるの?
どうして、先輩の言葉は、こんなに私の心を熱くするのだろう。
「先輩…」
口からこぼれた私の言葉は、電子音によって遮られた。
ピリリリリ、と耳に響く音。
「ちょっとごめんね」
先輩はそう言ってポケットからスマートフォンを取り出す。