センパイの嘘つき
立ち上がった先輩の服の裾を掴む。
先輩は、少し驚いたように私の顔を見る。
「先輩…」
なんて言えばいいのかわからない。どうしたら、先輩を引き止められる?
「っ…私と、付き合ってください…!」
思わず口をついた言葉に、自分でも驚く。
どうしよう、間違えたかもしれない…
私の胸をよぎった不安は、先輩の言葉によって打ち消された。
「…本当に?俺で、いいの?」
「…あ、あの、私、彼女らしいこととか全然できないと、思うんですけど…」
「…ううん、やばい、すっげー嬉しい」
先輩の嬉しそうな笑顔が、今は胸に刺さる。
これは、罪悪感だろうか?