センパイの嘘つき
宝石
朝、誰かが自分を迎えにくることなんて初めてだった。
びっくりする私に先輩は当たり前のように「おはよう」と言う。
「…なんでいるんですか」
「…まずそのストーカーを見るみたいな目をやめようか」
私はとりあえず警戒を解いて先輩の横にそっと並ぶ。
「ん」
差し出された手の端っこを少しだけ握ると、先輩は満足そうに笑って歩き始めた。