これはきっと恋じゃない。
「むしろお母さん的には、
何かあってくれた方が嬉しんだけどなあ」
言いながら私と尊弥を交互に見る。
もう全員がご飯そっちのけで話し始めている。
お母さんなんか、テーブルに肘をついて両手で顔を包み込むような体勢だし。
「はあ?」
信じられない、何を言い出すかと思えば...
口の中に食べ物が入っていたら間違いなくむせていただろう
「昔二人で言ってたのよ。
大きくなったら結婚するって」
「...」
なにそれ...
言ったっけ、そんなこと
いくら頭の中で記憶をさかのぼったって、思い出せない。
「そんな昔の事...」
「お母さん、二人がいつ付き合うのかなーって待ってたのに...
全然付き合わないんだもーん」
私の言葉はお母さんの不満にかき消された。