歪んだ恋の形
チュンチュン

雀が元気よく鳴く朝


太陽は眩しいほどに照っており、青磁色の空が今日も美しい


「朝…か」


居間にいくとお母さんが鼻歌を歌いながら朝食の準備をしていた


「あら、笑夢おはよう」


「おはよう」


起きてすぐの朝食は苦手


なかなか喉にとおらない


「ご馳走様」


身支度を整え、今日も私は学校に行く


「いってきます」


今日は最近で1番綺麗と思えるほどの青磁色の空


青磁色の空の下には桃色の桜が揺らいでいる


明るい色々達が騒いでいる


通学路には生徒達がたくさんあるいている


まだ春上旬


ほとんどの人がブレザーを羽織っていて誰もが同じ格好


だけど、私にはわかる


少し前を歩いている男の子


郁結…


話しかけたい


でも、すごい派手な女の子と一緒にいる


とてもじゃないけど、地味な私なんかが話しかけれる時じゃない


だから…気づいて…


想うばかりの弱い自分に呆れて俯く


けれどそれを覆すように、春の風が私の所まで届けてくれた一言…


「笑夢」

って


他の誰でもない君の声で私の名前を呼んでくれた


周りの派手な女の子はみんなすごい睨んでるけれど、今の私には眼中に入らなかった


ただひたすら風で髪がなびいてる彼を見つめたから


「お、おはよう…!!」


言えた言葉はやっぱ挨拶だったけれど、自分の足で郁結の所まで行けた


「ごめん、この子と学校行くから」


「なっ…
そ、その子と2人で?!」


「うん、そうだけど?」


「わかった…」


何故優しくするの


私は貴方が好きだけれど、貴方は好きじゃない


その優しさが時々私の胸を痛めるの…


貴方はそれに気づいてますか…?


「どうして…」


「ん?」


「どうして好きでもない私に優しくするの?」


「俺はただやりたいようにしてるだけ」


「…そっか」


それ以上は言えなかった


『貴方の優しさが時々胸を痛める』


なんて言えるわけがない


学校に着くと、郁結はすごい喋りかけられて周りのみんなは私なんか眼中になかった


郁結も周りの子に話しかけていて私のことは忘れているようで


あ、やっぱここは私の居場所じゃない


そう思わされた


もう惨めな思いはしたくなくて、こっそり郁結から離れて教室へ向かった



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