歪んだ恋の形
屋上に行くと、梨花は少し前を歩いていって私の方を向いた


いつになく真剣な梨花の顔はなにか今からすごい重大なことを言ってきそうでならなかった


こんなに真剣な梨花を私は1度も見たことがなく、どんな話をするんだろうと興味がでてきてしまった


「は、話って何?」


「…あのね、笑夢に協力してほしいことがあるの!!」


「協力?」


「うん!
3-1の神代郁結くんって知ってる?」


ドキンー


なんで…梨花から郁結の名前が出るんだろう
郁結がなに…?


……怖い
さっきまでの好奇心は次第に恐怖心と不安に変わっていった


聴きたくない…
怖い…けど


「…うん
知ってるけどそれがどうしたの?」


「私ね、郁結くんのこと好きになっちゃったの!」


ドッキンー


…ほら
だから聴きたくないって…


今日はいいことない日なんだって


朝のあれはこの事の前兆だったんだよ…
なんで気づかなかったんだろ


周りは私と梨花の2人で静寂が続く


「そう…なんだ」


「でね、私あまり郁結くんと絡んだことないからさ
笑夢、よく絡んでるでしょ?」


「そんなことない…けど」


もうやめて…


「でも1人だと恥ずかしくて…
笑夢、お願い!」


…やめて
私に恋愛話しないでよ…


「…うん、わかった」


「ほんと?!
ありがと!!」


…上手く笑えていたのだろうか
なんで私も郁結が好きって言えなかったんだろう


「じゃ、もうこのまま1時間目さぼっちゃお!」


「…うん」


ほんとは聴きたくなかった
でも気になってしまった


…梨花が何故郁結のこと好きになったのか


「ねぇ、梨花はなんで郁結のこと好きになったの?」


「えっとね、昨日職員室行ったら委員長の話をされてね、引き受けたらいきなりいろんな仕事と荷物任されて、たまたま郁結くんがいて荷物一緒にもってくれて好きになっちゃった!!」


…すごい笑顔で話すな…
私ってこんな心狭い人間だったんだ


…頭痛い
吐き気がする


「…梨花
ごめん、サボろうとしてたのに頭痛いから保健室行くね」


「あ、うん」


ほんとは我慢だってできた


でも保健室以外逃げる所はなくて


今は梨花の話も梨花の顔も見たくなかった


私は梨花から逃げるように屋上を出て走って保健室に行った
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