亡霊
「歩、私は歩が好き。


だけど、私は莉乃も好きなの。



だから、付き合いたいとかじゃないの。

気持ち伝えたいだけ」



押し付けた告白。



ただ、一方的に好きだった。



答えは分かってるから、聞かない。



貴方は、莉乃が好き。



「ごめん、俺は莉乃が好きだ」



うん、知ってる。


困らしたい訳じゃない。



「うん、知ってる。


それだけ言いたかったの」



私は彼に背中を向けて歩いた。


あっ、莉乃。



廊下をすれ違う瞬間ーーーー





「"裏切り者"」





えっーーーー?




低い冷たい声。



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