八十八夜物語
学園編
君と私と
最近私は恋に落ちているようだ。クラスであまり目立たない彼に。
普通なら、イケメンやムードメーカーを好きになると思うのに、
なぜだか彼…結城慎司(ゆうき しんじ)が好きになってしまった。
名前も大人しそうだし、見た目は本当に大人しい。
人付き合いはクラスのお宅と呼ばれる一部と多少の交流程度だ。
それに比べ、私は化粧もするし女友達と夜にカラオケに行くようなタイプだ。
花に興味があるのか?と聞かれれば対して好きでも何でもない。
共通の話題もないし、実は幼馴染とかいう展開もない。
けれど、私は彼の小さな小さな秘密を知ってしまったのだ。
「…ん。…さん。宮野(みやの)さん!」
「ひゃい!?…って、結城くんか。何の用?」
結城くんは普段誰かを必死に呼ぶようなことはしない。
ということは何かあったのかな。
苗字だけど、覚えていてくれたのが嬉しかった。
いつかは、里香(りか)って呼んでもらいたい。
「今日までの課題、宮野さんだけ出てないんだ。
だから、どうするのか聞こうかと…」
「え!?今日まで!?って、どの教科!}
「え、えと…数学」
「やばい!やってない!」
どうしよう、何も考えないで生活していたから
課題のことなんて頭の中から追い出していた。
私の友達なんて、たかが知れてるレベルの知力しかないし。
諦めるしかないか…。
「えー里香まだ終わってないのー?」
「やばいんじゃない?次落としたら退学とか!」
「やば、うけるー」
ほら、この程度。何もうけねえよって怒りたいけど、これは自業自得。
人の不幸を笑う友達のことを怒れる立場でもない。
「…宮野さん?」
結城くんが心配そうに覗きこんできた。
前髪で瞳が見えづらいけど、声がそんな気がした。
「えと…知らせてもらって悪いけど、私数学苦手だしやってないから諦める…」
「よければ。よければ…その、教えよう…か?」
「うぇ!?」
さっきから変な声ばかり出ている気がする。
「で、でも…今日までなんでしょ?間に合うわけないよ」
「大丈夫。どうしても間に合いそうになかったら、僕のを写させてあげるよ」
結城くんは天使だった…。
じゃなくて、なんていう幸運。まさか、彼がこんなことを言ってくれるなんて…。
「ええと…間宮さん?大丈夫?」
おおと、感動のあまり意識が薄れていたようだ。
「結城くんありがと!ぜひお願いします!!」
「あ、うん」
私は思いっきり結城くんの手を縦に振った。
「それじゃあ、放課後に教室に残っててね」
「うん、わかった!」
こうして、私は彼と課題を進めることになった。
普通なら、イケメンやムードメーカーを好きになると思うのに、
なぜだか彼…結城慎司(ゆうき しんじ)が好きになってしまった。
名前も大人しそうだし、見た目は本当に大人しい。
人付き合いはクラスのお宅と呼ばれる一部と多少の交流程度だ。
それに比べ、私は化粧もするし女友達と夜にカラオケに行くようなタイプだ。
花に興味があるのか?と聞かれれば対して好きでも何でもない。
共通の話題もないし、実は幼馴染とかいう展開もない。
けれど、私は彼の小さな小さな秘密を知ってしまったのだ。
「…ん。…さん。宮野(みやの)さん!」
「ひゃい!?…って、結城くんか。何の用?」
結城くんは普段誰かを必死に呼ぶようなことはしない。
ということは何かあったのかな。
苗字だけど、覚えていてくれたのが嬉しかった。
いつかは、里香(りか)って呼んでもらいたい。
「今日までの課題、宮野さんだけ出てないんだ。
だから、どうするのか聞こうかと…」
「え!?今日まで!?って、どの教科!}
「え、えと…数学」
「やばい!やってない!」
どうしよう、何も考えないで生活していたから
課題のことなんて頭の中から追い出していた。
私の友達なんて、たかが知れてるレベルの知力しかないし。
諦めるしかないか…。
「えー里香まだ終わってないのー?」
「やばいんじゃない?次落としたら退学とか!」
「やば、うけるー」
ほら、この程度。何もうけねえよって怒りたいけど、これは自業自得。
人の不幸を笑う友達のことを怒れる立場でもない。
「…宮野さん?」
結城くんが心配そうに覗きこんできた。
前髪で瞳が見えづらいけど、声がそんな気がした。
「えと…知らせてもらって悪いけど、私数学苦手だしやってないから諦める…」
「よければ。よければ…その、教えよう…か?」
「うぇ!?」
さっきから変な声ばかり出ている気がする。
「で、でも…今日までなんでしょ?間に合うわけないよ」
「大丈夫。どうしても間に合いそうになかったら、僕のを写させてあげるよ」
結城くんは天使だった…。
じゃなくて、なんていう幸運。まさか、彼がこんなことを言ってくれるなんて…。
「ええと…間宮さん?大丈夫?」
おおと、感動のあまり意識が薄れていたようだ。
「結城くんありがと!ぜひお願いします!!」
「あ、うん」
私は思いっきり結城くんの手を縦に振った。
「それじゃあ、放課後に教室に残っててね」
「うん、わかった!」
こうして、私は彼と課題を進めることになった。