天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
天ヶ瀬くんと仮彼女。
いつも、いつも。
朝学校に来てから席について、必ず窓の外を見るのが習慣になったのはいつからだろう。
窓側の後ろから2番目。
ここがわたし浅葉ももの席だ。
高校2年になって2ヶ月ちょっとが過ぎて、初めての席替えでこの席を引き当てた。
ここの席はわたしにとって特等席。
なんでかって?
そこから外を見ると、登校してくる生徒たちがよく見える。
そこで、わたしはある人を探す。
どれだけたくさんの生徒がいても、彼ならすぐに見つけられる。
視線の先には
イヤホンをして、だるそうにゆったり歩く姿が特徴的な彼が見える。
その姿だけで絵になるのが
わたしがいつも見つめている彼。
天ヶ瀬佑月(あまがせ ゆづき)くん。
< 1 / 327 >