天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
そういえば星川くんが呼んだって言ってたけど来るの早すぎないだろうか。
いや、今はそんなどうでもいいことを考えるのはやめよう。
連れてこられたのは人通りが少ないはずれた道。
こちらに振り返ったかと思えば、身体は簡単に壁に押さえつけられてしまった。
抵抗できないように、両手首をつかまれてしまった。
ようやく、はっきり天ヶ瀬くんの顔を見た。
「怒って……るの?」
率直にそう思った。
やっぱりこの前の愁桃と一緒にいたことにたいして不機嫌なんだろうか。
「……逆に聞くけど怒ってるよーに見えないわけ?」
こんな感情を露わにしてくるなんて初めてだからどう対処していいんだろう…?
「愁桃と出かけたこと…怒ってる?」
「そーやって、ももがアイツの名前呼ぶともっとムカつくんだけど」