天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
ただでさえ、いつもと違って熱があって、頭がボーッとしてるのに、愁桃の相手していたら余計熱が上がりそう…。
そのまま、部屋を出て行こうとしたら。
「おい、もも。ちょっとまて」
わたしの顔を見るなり、すぐに腕をつかんで、自分のほうに引き寄せた。
ま、まずい……!
もしかして、熱があるってことがバレたんじゃ…。
もし、バレたら即休まされる。
おまけに看病という厄介なものまでついてくる。
「な、なに…?」
愁桃の手がわたしの顔に伸びてくる。や、やばい…いま顔に触られたら熱いから確実にバレる。
愁桃の表情から見ても、かなり険しい顔をしているから、もうほぼ確定かもしれない……と、思ったら。
「……これ、天ヶ瀬がつけたのかよ」
愁桃の手は顔ではなく、わたしの首筋に伸びていた。
「へ……?」