天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



***


そのまま、愁桃には熱のことはバレることなく学校に着いた。

クラスの前で別れて、自分の教室に入ろうとしたとき。


前の扉に手をかけて、開けようとしたけど、わたしが開く前に開いた。

中から、男子数人がタイミングよく出てきて、運悪くそのうちの1人とぶつかってしまった。


「うおっ、ごめんごめん!!」

何やら急いでいるみたいで、簡単に済まされてしまった。

相手はわたしの身体の心配はせず、走り去っていった。


ぶつかった側は大したことないかもしれないけど、ぶつかられた側は結構ダメージが大きかったりする。

しかも男子と女子じゃ体格が違いすぎだし。


軽くぶつかったならまだしも、なかなかの勢いで強くぶつかられて、身体のバランスを保てなくてふらついた。

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