天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



***


「あれ、ももお昼は?」

「あ……あんまり食欲なくて」

午前の授業をなんとか乗り切って、今はお昼休みの時間。

花音と一緒にわたしの席でお昼を食べている。

いや、正確に言えばお昼を食べているのは花音だけ。

どうやら体調は悪化しているみたいで、こうして起きているだけで億劫。


そんなわたしを花音が心配する。


「大丈夫?購買で食べれそうなもの買ってこようか?ヨーグルトとか」

「ううん…大丈夫。購買混んでるだろうし」


お昼の時間の購買といえば人がすごすぎて、パン1つ買うのですら大変なのに。

そんな人混みの中に花音をいかせるのは申し訳なさすぎる。


「でもなんか食べないと午後持たないよ?」

「あと2時間だから…頑張る」


一応、お弁当は持ってきてるけど、食べれそうにない。

何か食べて気分が悪くなるより、食べないほうがマシだろうし。

< 115 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop