天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



キョロキョロ教室を見渡していると、1人心当たりがある人がいた。

すぐに身体を後ろに向けた。

そこには、見事にさっきのわたしが眠っていた状態と同じ、自分の腕を枕にして眠っている天ヶ瀬くんの姿。


「天ヶ瀬くん、起きてる?」

「……寝てる」

なにそれ。寝てたら何も返ってこないでしょうが!

起きてるって言ってくれればいいのに。


「ヨーグルト……買ってきてくれたの?」

「…………」


もしかしたら、さっきのわたしと花音の会話を後ろの席で聞いていて、わざわざ買ってきてくれたのかもしれない。

これで勘違いだったら恥ずかしいけど、ほかに心当たりがないんだもん。


「混んでたよね。買うの大変だったのに、ありがとう」

「…………」

む、無視!フル無視ですか?
素直にどういたしましてって言ってくれればいいのに。

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