天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「いくよ、もも」
「ちょっ……!」
何がどうなってるのかわからなくて、抵抗するけど、どうやらそれは無駄みたいで。
「面倒だから、無理やり連れていく」
「へっ……ちょっ…!?」
慌てている間に、身体が床からふわっと浮いた。もちろん天ヶ瀬くんの手によって。
周りがざわついた。
「いい加減にしなさい!あなた何考えてるの!」
ついに先生が怒ってしまった。
う、うわ…どうしたらいい、この状況…。
何もすることができないわたしは、ただ天ヶ瀬くんの胸に顔を埋めるだけ。
「何考えてるのって、保健室連れて行こうとしてるんですけど」
周りにどれだけ見られていようと、先生に何を言われようと動じない。
「朝から調子悪かったんですよ、この子。無理して悪化したみたいなんで」