天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
結局、ずっと近くにいるから、背中を向けて熱を計ると、見事に上がっていて、38度を超えていた。
熱を計り終えたところに、養護教諭の先生が戻ってきて、熱のことを伝えると、すぐに早退だと言われた。
そして、今は天ヶ瀬くんに送ってもらうために、下駄箱で靴に履き替えているところ。
「……1人で帰れるのに」
「さっきから俺が支えないとまともに歩けないくせに何言ってんの?」
「うぅ……」
ごもっともでございます。
熱のせいで、支えてもらわないとまともに歩けない。
手をギュッと繋がれて、身体を抱き寄せられながら歩くこっちの身にもなってほしい。
……ドキドキしすぎて、余計に熱が上がりそうだっていうのに。
近すぎて、心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかって心配しながら門まで歩いていく。