天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



「ってか朝は熱なかったわけ?」

「いや…そんなに高くなかったと言いますか」

「どうせ37度超えてんでしょ?」


ギクリ……。
なんでバレてるんだ!

天ヶ瀬くんはたまにエスパーなんじゃないかって思うくらい人の心を見透かしてくるときがある。


「言っとくけど、俺エスパーとかじゃないから」

「え…!?」

完全に読まれているではないか…!


「ももってバカで単純だからなに考えてるかわかりやすい」

「バカって……軽く悪口じゃん」


「まあ、素直でいいってとらえるのもありだと思うけど」

「だったら最初から素直だけ言ってくれればいいのに」


そんなくだらない会話をしていると、あっという間に門までたどり着いた。


そう、このとき。

まさか、この先に自分が想像していなかったことが起こるなんて……思ってもいなかった。


「ゆづくん!!」


この声を聞くまでは。

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