天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「どうかしたの?ゆづくんの彼女さんって人見知りなの?」
「別に人見知りってわけじゃないから。体調悪いだけ」
「ふーん?あ、そうだ!実はねゆづくんにお願いがあって来たの!」
「なに?」
どうやらわたしへの興味はすぐになくなって、別の話題に切り替わった。
「今ね、ママとパパが海外に行っててね、それで家に帰っても1人なの。一応今日唯乃が帰ってくるって伝えといたんだよ?」
「だから?」
「だから〜、しばらく唯乃をゆづくんのお家に泊めてほしいのっ!」
目の前で繰り広げられる会話についていくのに必死で
ただでさえ熱が上がっていて、頭は正常に働いていないのに
なんなの、この打撃は……。
しばらく天ヶ瀬くんの家に泊めてもらう……?
ただの幼なじみなのに、そんなことを許してしまうの……?
頭がクラクラして、身体を支えることが難しくなってきてしまった。