天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



そんなことを言ってくるもんだから、天ヶ瀬くんをとられたくなくて、不安になって、天ヶ瀬くんのブラウスをギュッと握った。

その不安を消すように、わたしの頭を軽くポンポンと撫でながら。


「いくら唯乃の頼みでも今は聞けない。今ももを放っておくことはできないから」

その言葉にとても安心した。


だけど、それもつかの間で。


「……唯乃だってゆづくんに助けてもらいたいのに…っ」


唯乃さんのその言葉に、天ヶ瀬くんの動きがピタッと止まった。

唯乃さんは自分の左腕を押さえながら訴えかける。


押さえている左腕は、長袖のブラウスを着ているからどうなっているのかは見えないけれど、ケガ……をしてるのかなっと思った。

< 133 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop