天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
***
そして放課後。
わたしが教室を出るよりも先に愁桃が迎えにきてしまった。
断ったけど、「どうせ一緒の道だろ?」とか言われてしまい、一緒に帰ることになった。
「もも、身体大丈夫か?」
「うん、もうすっかり回復してるから大丈夫だよ」
愁桃ってば、休み時間になると心配してクラス違うのにわざわざわたしのクラスまで来て、
「体調悪くなったらすぐ俺に言えよ?」とか気遣う言葉をかけてくれた。
正直、今日も天ヶ瀬くんが休みでよかったと心の中でホッとしてしまった。
そんなところを見られたらまた機嫌を損ねてしまいそうだから。
「そーいえば、天ヶ瀬のやつ今日いなかったな。休みか?」
「…………」
そんなのわたしに聞かないでよバカ。