天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
愁桃の問いかけを無視して、2人門のところまで来たところで
ピタッと足を止めてしまった。
ある人物が視界に入ってきて、全身がドクッと震えた。
な、なんでここに……っ。
「おい、もも。急にどーした……って、アイツ……」
急に足を止めたのを不自然だと思った愁桃はわたしの視線を辿り、驚いた顔を見せた。
そんなわたしたちに向こうも気づいてしまったみたいだ。
「あ、こんにちは。お久しぶりかな、ももちゃん?」
そこには、わたしが天ヶ瀬くんの次に会いたくないと思っていた唯乃さんの姿があった。
無理して顔を作ろうとしても、顔がひきつる。
「もう体調は良くなった?」
そんなわたしにグイッと近づいてきて、顔を覗き込まれた。
思わず、後ずさりをした。