天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



「やだ、そんなあからさまにしなくてもいいじゃない。感じ悪い。やっぱり人見知りなんじゃない?」

「っ……」


ダメだ、なんて返したらいいのか、頭が回らない。

ただ、唯乃さんと話すのは少し怖くて。威圧的っていうか、攻撃的っていうか……。

たぶんわたしにだけそんな態度なんだろうけど。


「えっと……天ヶ瀬くんに何か用があって…?」

やっと声を出せたのに、スパッと答えを返されてしまう。


「違うわよ?今日はあなたに用があって来たの」


わ、わたしに用って…。
いったい何を言われるんだろう。


「ってか、唯乃は今ゆづくんの家にいるの。だから、今日ゆづくんが学校休んでるってこと知ってるし」


なんだ…やっぱり。休んでいる理由は少なくとも唯乃さんが関わっていると確信を持ってしまった。

結局、2人は今も一緒にいるんだ。


「ここで話すのはあれだから、どこかカフェでも入らない?」

ただ、首を縦に振ることしかできなかった。

< 145 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop