天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
愁桃には先に帰ってもらい、駅のほうにあるカフェに入ることにした。
飲み物を頼んで、テーブルを一つ挟んで正面に唯乃さんが座る。
両腕を組んで、ドンっと座っている唯乃さんを見て、肩に力が入ってしまう。
「ここのカフェってまだあったんだー。しばらく来てないから無くなってたかと思ったの」
「え……?」
「あ、わたし最近外国に留学してたの。1年だけね」
「そ、そうですか」
それでこの前日本に帰って来たとか言ってたのか…。
「ってか、その敬語やめてよ。同い年なんだから」
意外……って言ったら失礼かもしれないけど、見た目と態度からして年下だと思っていた。
「あれからゆづくんにいろいろ聞いたの。あなたのことや、あなたとゆづくんの関係のことも」
「そう……ですか」
「だから〜、敬語とかやめて。唯乃そーゆー堅苦しいの嫌いなの」