天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「へー、いいじゃん。俺そーゆー子好きだよ」
また、ほらそう言いながら
危険な笑みを浮かべて近づいてくる。
そして、そのままわたしの髪に触れて
耳にかけながら
そっと、耳元で
「……悪い子ってそそられる」
甘く囁いて……。
「どんな反応してくれるのか、試したくなる」
……耳たぶを甘噛みされた。
その瞬間、身体がビクついて、電気が走ったみたいにピリっとして。
「っ……ん」
自分でも聞いたことがない声が漏れた。
「可愛い声じゃん」
バカみたい、こんな声たくさん聞いてるでしょ。
みんなにそう言ってるんでしょ?
あぁ、好きなのに。
こういうことされると、他の女の子たちと一緒にされてるみたいで気に入らない。