天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。



「へー、いいじゃん。俺そーゆー子好きだよ」


また、ほらそう言いながら
危険な笑みを浮かべて近づいてくる。


そして、そのままわたしの髪に触れて
耳にかけながら

そっと、耳元で


「……悪い子ってそそられる」


甘く囁いて……。


「どんな反応してくれるのか、試したくなる」


……耳たぶを甘噛みされた。


その瞬間、身体がビクついて、電気が走ったみたいにピリっとして。


「っ……ん」


自分でも聞いたことがない声が漏れた。


「可愛い声じゃん」


バカみたい、こんな声たくさん聞いてるでしょ。

みんなにそう言ってるんでしょ?



あぁ、好きなのに。
こういうことされると、他の女の子たちと一緒にされてるみたいで気に入らない。

< 15 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop