天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
つまり、唯乃さんは天ヶ瀬くんの……
「言っておくけど、元カノってわけじゃないから」
わたしの考えることを先に読んだのか、そんな答えが返ってきた。
だけど、予想していたものとは違っていた。
「今も昔もゆづくんはわたしのものだもん」
「は……?」
思わずそんな声が漏れてしまった。
何を言ってるのかさっぱり。
今も昔も天ヶ瀬くんは自分のものって何を言ってるの?
「少し昔の話になるんだけどね」
それから唯乃さんは過去のことを話し始めた。
付き合った理由については言わなかったけれど、2人が付き合っていたことは確かだった。
幼なじみってこともあって、小さい頃からずっと一緒だったらしい。
まるで、わたしと愁桃みたいだ…。
だけどわたしと愁桃はこの2人とは重ねてはいけない。
付き合ったこともないし、恋愛感情の好きが両方に芽生えなかった。