天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
それが今でも痛々しいほどの傷跡で残ってしまっている。
「正直、こんな傷が残ってこれから先どうしようって考える毎日だった。夏は半袖の服なんか着れないし、人に傷を見られるのも抵抗あったし」
そんな唯乃さんを支えられるのは天ヶ瀬くんしかいなかった……。
だから、天ヶ瀬くんは償いのような形で唯乃さんのそばにいることを決意したそう……。
「最初はね、ゆづくんはわたしのことなんか全然好きでいてくれなくて。わたしは小さい頃からずっとゆづくんが好きだったのに。
ただ、傷のためにそばにいてくれるだけで、気持ちが何もないゆづくんなんかそばにいてもらっても何にも嬉しくなかった」
だけど、そばにいるうちに、次第に唯乃さんのことを大切にする気持ちと一緒に、好きという気持ちも出てきて、
自然と付き合うことになったそう…。