天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
そして。
「ねー、ももちゃん。佑月のやつなんか怪しくない?」
わたしに話を振ってくるんだから。
こうなると、無視するわけにもいかず、後ろを振り向いて何か話すしかない。
身体を後ろに向けると、久しぶりに天ヶ瀬くんの顔をしっかり見た。
……やっぱり、嫌いになれない。
一瞬でそう思ってしまった。
「ってか、怪しいと言えばさー、ももちゃんもじゃん?」
「へ……?」
「佑月が休んでる間、あの幼なじみくんといい感じだったじゃん?」
よ、余計なことを……。
別に今それ言わなくてもいいでしょ…。
「ももちゃんの身体のこと心配してさー、休み時間しょっちゅう様子見に来てたじゃん?」
もうそれ以上喋らないでほしい。
怖くて天ヶ瀬くんの顔を見ることができなくなった。