天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。
「2人ともそんなんで大丈夫?まさか俺の知らない間に別れたりとか……」
星川くんの声を遮るように。
「もも、ちょっときて」
と、だけ言って教室から連れ出された。いつもより強引に腕を引っ張っていることから、怒っているのはわかる。
何も言わず連れてこられたのは、今は使われていない空き教室。
ガラガラっと扉を雑に閉め、ガチャっと鍵をかけた音がした。
密室の中に、2人っきり。
そして、ずっとつかんでいた腕を離されて、近くにあった机に身体を押し倒された。
「い、痛い……よ」
わたしがそう言ってる間に、上に覆いかぶさってきて、手首をグッとつかまれた。
いつもと瞳が違う……。
そして、何も言わず唇だけを重ねてきた。
前にしたキスよりずっと荒い。
強引で、息をする暇も与えてはくれない。